日本陸軍 28cm 榴弾砲

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概略

 2010年4月発売のピットロード「1/35 日本陸軍 28cm 榴弾砲 旅順攻略戦」。旅順要塞陥落に大きく貢献した二十八糎砲のプラモです。メーカーのページにも書かれている通り、砲本体の他に砲兵フィギュア4体、弾薬運搬車、砲弾、装薬などのアクセサリ、佐山二郎氏による解説書が付属しています。市場価格は4600円〜5200円くらいです。


砲身の組み立て、塗装

  まずは説明書通り砲身の組み立てから。三分割されたパーツを組み合わせ、芯となる部分を通すだけなので、ここは簡単にできます。




 色は説明書では「つや消しブラック」を指定されていますが、解説書によると「明治末期からは茶褐色、それ以前は錆染」というようなことが書かれており、また、個人的なイメージとしては外箱のような「黒」よりもメーカーサイトの作例のような「茶色」の方がしっくりくるので、レッドブラウン、メタリックブラウン、つや消しブラックなどで試行錯誤しながら塗装していきました。





砲架の組み立て、砲身の設置

  砲架も各パーツの塗装、貼り合わせを繰り返しながら徐々に組み立てていきました。三笠の時もそうですが、組み立て途中でその構造が立体的に把握できるというところが模型作りの興味深いところです。



 さらに細かいパーツを取りつけていき、組みあがったところで砲身を設置。上半分だけ出来たような状態ですが、これだけでも大砲のプラモとして普通に飾れそうな出来です。



 二十八糎砲の砲架は写真のようにシンプルな構造で、左右のハンドルを回すことで中央の歯車が回転し、砲身の仰角を調整することができるようになっています。





架筐の組み立て、砲身などの設置

  次は架筐の組み立てです。下の写真は主要パーツを組み上げた段階で撮影しました。砲架を載せると隠れてしまう駐退機。発射直後、砲架は反動で後方へ下がり、その後架筐を滑り降りて元の位置へ戻ります。駐退機は前後への移動の勢いを緩和する役割を果たしています。




 砲撃前後の砲身、砲架の動き

(1)発射前の砲身、砲架の位置 (2)発射の反動で砲架が後坐する (3)架筐を滑り降り、元の位置へ戻る




 次は架筐後部の歯車部分。こちらは左右のクランクを回すことで、歯車形の匡床と接している歯車を回転させ、架筐の方向を変えることができるようになっています。



 さらに架筐には転輪、観測台などのパーツを追加していき、前に作った砲架を載せます。




【注意!】
 この後、架筐には砲弾を吊るす揚弾機を取り付けるのですが、説明書に誤りがありました。説明書の【13】ではE19(大きい歯車)にE10(クランク)を付けるように指示しており、そのまま組み立てると下の左側の写真のようになります。しかし違和感があったため(上の小さな歯車の役割が分からないうえに、力学的にも負担軽減にならないから)、付属の佐山氏の解説書を確認したところ、「弾丸の重量は217kgあるが、人力で巻き上げられるよう揚弾機の歯車比を設定してある」と書かれていたほか、載っていた複数の古写真から実際は下の右側の写真のように小さい歯車(E17)にクランクが取り付けられていることがわかりました。

×) 説明書通り組み立てた場合 ) 正しい取り付け位置



(参考写真) 当サイトで掲載しているこの古写真でも確認できます。


 付属の「1/2寸法図面&塗装ガイド」も同様に大きな歯車にクランクが取り付けられた状態で描かれています。一方、外箱のイラストをよく見てみると、

 こちらは小さな歯車の方にクランクが付いています。どうやら同封されていた説明書と塗装ガイドだけが間違っていたようです。

 念のためメーカーに確認のメールを送ったところ、やはりE17の小さな歯車に付けるのが正しい組み立て方である旨の回答がきました。他からも指摘があったのかどうかは分かりませんが、GW中のメール送信に対して、連休明けの6日昼に回答があり、翌7日には補足図面のサイト公開という迅速な対応でした。今後の出荷分については訂正用紙が同梱されるそうですが、初期出荷分を購入された方は取り付け位置に十分注意してください。



 さて、この揚弾機の使い方ですが、まず砲弾が送弾車で砲架下まで運搬されてきます。次に砲弾底部の2個のリングにフックをかけ、そのフックと鎖で繋がれた鐶を弾頭に掛けます。最後に、鎖の部分をワイヤーの先に付いたフックに吊るし、揚弾機で砲身の位置にまで引き上げます。






完成写真

  最後に、今まで組み上げてきた砲身、砲架、架筐を匡床に設置して完成です(砲兵4体やその他の附属品は面倒なので今回は未着手)。



 本当は作例のように屋外使用による色ムラや汚れを出したかったのですが、もともと色塗りという作業が苦手な上に、模型制作の経験も浅いこともあり、意図していた出来栄えとは違った色合いになってしまいました。それでも、この模型自体が細部まで再現されている良いものなので、リアリティがあって見応え充分です。
 欲を言えば、さらに大きなスケールで、砲身、砲架、架筐、揚弾機などが全てクランクで動かせる本格的な金属模型がほしいところです。




ジオラマ版

 ホコリと子供達の魔の手を避けるために少し大きめのケースを購入しましたが、スペースが余りすぎで何となく寂しい感じになってしまいました。そこで、ジオラマに初挑戦。
 紙粘土で土台を作り、その上から鉄道模型用の地面素材を塗布。台座周りの補強部分は箱絵のようにするのが面倒だったので、円形の穴を掘ってそこに置いただけになっています(急拵えの陣地ということで)。
 前面の土嚢はガーゼに余った紙粘土を詰めて作りました。旅順攻撃、奉天会戦の写真を見ると、実際は前面と側面の三方を高く囲っていたようですが、その通りに作るとせっかくの模型が見えなくなってしまうので、飾り程度に半円形に積んでおきました。