書名 |
基本戦術講授録 全 |
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著者 |
松川敏胤 |
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出版 |
陸軍大学校 |
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出版年 |
明治三十年 |
松川敏胤が陸軍大学校の教官を務めていた際の講義内容を纏めた書籍。この書籍について、長南政義氏は著作「陸軍大将 松川敏胤伝 第一部 −補論:黒溝台会戦と敏胤〜満洲軍総司令部の不覚」で次のように説明されています。
『陸軍大学校教官の口授録は虎の巻で、一般将校の入手が困難であったが、敏胤は、「国軍の基幹たる一般将校の知識を向上する遠大の精神」から、「万難を排して」刊行を「断行」したとされ、青年将校で同書を「読まざる者は将校にあらず」とまで謳われたほど歓迎された。』
松川が戦術教官を務めていた頃の教え子には日露戦争で参謀を務める田中義一、大庭二郎、津野田是重らがいるので、この戦術書は日本陸軍の作戦方針に少なからず影響を与えているものと思われます。
内容は歩兵、騎兵、砲兵の基本隊形、攻撃、防御について解説しているほか、佐倉や府中の地図を用いて小規模な想定戦問題を掲載。国会図書館の近代デジタルライブラリーでも閲覧可能です。近代デジタルライブラリーではモノクロ表示ですが、実際は一部の付図は下記写真のように黒・赤・青の三色刷りとなっています。
古書市場では全くと言っていいほど出回っていません。私は他の陸大テキストと纏め売りされているのをネットオークションで偶然見つけ、数千円で入手できました。オークションの商品説明にも書名は書かれておらず、写真を見てやっと存在に気付いたという状態なので、「基本戦術講授録」単体で出品されていたらもう少し値段が上がっていたかもしれません。