平成19年に開館した「坂の上の雲ミュージアム」
建築家の安藤忠雄氏が設計したミュージアムの外観
「坂の上の雲ミュージアム」は松山市が推進している「フィールドミュージアム構想」の中核施設として開館しました。ミュージアムでは、主人公(秋山好古、秋山真之、正岡子規)や明治時代に関する展示に加え、まちづくりに関するさまざまな活動を行っています。
展示は常設展示と、1年ごとに変わる企画展があります。2007年、第一回目の企画展は「子規と真之」でした。子規や真之の書画や手紙(複製品も多い)、愛用品などが展示されています。好古がフランスより与えられた勲章も展示されていました。
2階には関連書籍を集めたライブラリーがあるほか、タッチパネル式パソコンで資料閲覧が可能な「デジタルミュージアム」が置いてあります。「デジタルミュージアム」の情報量はまだ少な目ですが、好古と真之が一緒に写っている写真、秋山兄弟の家族の写真など、普段はなかなか見ることのできない珍しい写真を見ることができます。
さて、初めての「坂の上の雲ミュージアム」見学なのにただ見学するだけでは物足りない、ということで学芸員の方に取材を申し込んで直接お話を伺ってきました。
今後の展示方針などを伺ったのですが、やはり行政の施設ということで、このサイトのような個人の趣味レベルの物とは違うご苦労があるようです。「坂の上の雲」と軍国主義とを結びつけて批判してくる人、その逆にマニアックな人、それぞれの意見を取り入れながら秋山兄弟、日露戦争関係の展示をどのようにしていくかということが難しいようです。また、「フィールドミュージアム」の中核としての役割、「坂の上の雲」「明治時代」「郷土松山」の展示バランスなどに配慮されているほか、各展示物の見せ方(例えば明治時代関連の展示物は動きをつけてみるなど)も工夫されているとのことです。
また、資料収集も精力的に進めており、関連場所や主人公の親族の方々のもとを頻繁に訪れて写真などを集めてきたそうです。主人公の親族の方々の所も、古い話で思い出しにくいということもあって最初はなかなか資料が出てこなかったようです。しかし、何度か通ううちに「そういえばこういう物もあった」と思い出したり、訪問がきっかけとなって探してみたら色々な物が出てきたなど、徐々に資料も増えていったそうです。展示室に置いてある資料の他にも、実はさらに多くの資料が保管されているとのこと。今後の展示が楽しみですね。
炎天下の中を1日中歩き回った疲れもあって的確な質問などができませんでしたが、お忙しい中でわざわざ時間を割いて対応していただいた学芸員の方々には、この場をかりて再度お礼を申し上げたいと思います。
リンク : 坂の上の雲ミュージアムのホームページ
ミュージアム前で「坂の上の雲」クイズを出していたこの軍服姿の方は地元の作家
高笠原建さんです。クイズに1問正解するとポストカードを、3〜4問連続正解すると高笠原さんの著書(好古が主人公の『我輩は軍刀にあらず』、真之が主人公の『真之像はかく語りき』)をもらえます。高笠原さんは現地ガイドをしているほか、秋山兄弟の銅像や好古のお墓の清掃を行っているそうです。皆さんも松山に行ったら高笠原さんを探してみましょう。