明治版、大正版、昭和版の3冊があります。書名はどれも同じ「子規言行録」ですが、出版時期によって収録内容や市場価格が異なっているので購入する場合は注意が必要です。
書名 |
子規言行録 |
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編集 |
小谷保太郎 |
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出版 |
吉川弘文館 |
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初版 |
明治三十五年 |
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寄稿者 |
陸羯南、河東碧梧桐、柳原極堂、 古島一念、長塚節、伊藤左千夫 他 |
吉川弘文館の「子規言行録」は日本新聞、東京日日新聞、明星、文藝界など、当時の新聞、雑誌に掲載された追悼文、論評、回顧談を中心に構成されています。子規に対する当時の評価が分かるという点で、なかなか興味深い資料です。また、前半には子規の漢詩、和歌、紀行文の一部も収録されています。我が家にあるのは初版で、明治三十五年十一月十九日発行、つまり子規が亡くなってから僅か二ヶ月後に出版された書籍です。子規が亡くなった直後に出版された書籍ということで価値があるのか、古書市場では安くても1万円以上、平均3万円前後で出回っています。Amazonで検索したところ、2006年に国文学研究資料館から復刊されたようなので、購入するのであれば6000円位の復刊版がお手頃です。
書名 |
子規言行録 |
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編集 |
正岡律 |
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出版 |
金尾文淵堂 / 大鐙閣 |
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初版 |
大正三年 |
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寄稿者 |
陸羯南、河東碧梧桐、柳原極堂、 古島一念、長塚節、伊藤左千夫 他 |
古書店のネット通販で購入したため中身が分からず、手元に届いてから明治版と全く同じであることが分かって個人的にはショックを受けた一冊です。明治版との違いは、強いて言えば巻頭に子規直筆の絵画(カラー)と文章の写しが無いというだけ。その他の収録記事は全く同じなのに値段は明治版の10分の1、だいたい2000〜3000円なので入手しやすいと思います。
書名 |
子規言行録 |
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編集 |
河東碧梧桐 |
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出版 |
政教社 / 大洋社 |
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初版 |
昭和十一年 |
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寄稿者 |
陸羯南、河東碧梧桐、柳原極堂、 夏目漱石、高浜虚子、寒川鼠骨 他 |
こちらは河東碧梧桐、高浜虚子、夏目漱石など子規ゆかりの人々の寄稿文を中心に構成されています。編集時に亡くなっている陸羯南など一部の人々の分は、明治・大正版と同じ記事が収録されています。学生時代のエピソードも多く、秋山真之の失敗談などもあるので、個人的にはこれが一番お勧めです。
古書市場での価格は4000円〜6000円。1993年に日本図書センターの近代作家研究叢書シリーズで復刊されていますが、こちらの方が価格が高いこともあります。