日露陸戦新史
機密日露戦史

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書籍情報


書名

日露陸戦新史

出版

岩波書店

出版年

昭和15年

著者

沼田多稼蔵




書名

機密日露戦史

出版

原書房

出版年

昭和46年

著者

谷寿夫



解説

 日露戦争の陸戦を調べる際の必須史料とも言える2冊。「日露陸戦新史」は公刊戦史や非公開資料を基に、陸戦の推移をコンパクトにまとめた資料です。戦前から準公刊戦史として扱われていました。「機密日露戦史」は陸軍大学校のテキストとして編纂されたもので、日露戦争に従軍した当事者の証言も収録されています。「坂の上の雲」に於ける旅順攻撃の描写はこの資料を基にしているようです。どちらも日露戦争から100年経った2005年頃に再販されています。
 この2冊については詳しく解説しているサイトもいくつかあるので、詳細については省略しておきます。その代わり、手元の資料から見つけた逸話を一つ。

海大生が見た極秘資料

 『小柳資料』の編者である小柳富次は、海軍大学校在学中に「機密日露戦史」の原本を読んだことがあると証言しています。

『在学中に旅順攻囲の秘史を読ませて貰ったことがある。これは陸大教官谷寿夫大佐(後中将)が、同作戦関係者を歴訪して、その秘話を聴取、収録したもので、苦しかった作戦の内幕が手にとる如く活写されている。凡そ戦史は、事実を羅列した正史だけでは無味乾燥で、このような秘史の裏付けを俟って始めて生きているのだと痛感した。この秘史は、陸軍内部でも極秘のものであったが、谷大佐が海大教官兼務でその特別の好意によったものであった。』(「小柳資料 下」より)

 小柳が亡くなったのは原書房が「機密日露戦史」を出版してから7年後。彼が後に出版された「極秘資料」を再び読むことがあったのか、個人的にはそこが気になるところです。