書名 |
禅の応用 |
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著者 |
山路一善 |
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出版 |
秀文閣書房 |
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出版年 |
昭和十六年 |
秋山真之とは同郷で海軍兵学校でも同期であった山路一善の回顧録。4編から成り、第一編が自身の禅修養に関する記述、第二編が日露戦争の回顧、第三編が日露戦争以降の軍歴、第四編がスポーツに関する所見というような構成です。
第二編についてはお年寄りの自慢話的なものが多く、どこまでが本当のことなのかはよく分かりませんが、山路の数々の献策が採用、または不採用となって戦局に影響を与えたというような記述がいくつかあります。
・旅順閉塞作戦は自分が発案し、有馬良橘に進言した。
・マカロフを戦死させた機雷敷設作戦は自分が発案し、秋山真之に進言した。
・敵機雷に対する掃海の献策は受け入れられず、結果として初瀬、八島が沈没した。
・海軍重砲隊の旅順派遣を島村速雄に進言した。
・乃木希典に二○三高地攻撃への作戦転換を進言しに行こうとした。
このうち最初の2つ、旅順閉塞作戦とマカロフ戦死については、この書籍が出版される前の昭和十年に行われた座談会「名将回顧 日露大戦秘史 海戦編」でも山路自身が同様の証言をしています。
この他「山路一善」のエピソードでも紹介していますが、真之の「陣形主義」に異議を唱えているなど、回顧というより論評的な記述が多いように感じられます。