書名 |
明治卅七八年日露戦史 |
|
巻数 |
本編10巻+付図10巻 |
|
編集 |
参謀本部 |
|
出版 |
偕行社 |
|
出版年 |
明治四十五年〜大正五年 |
|
付図 |
付図、挿図700枚以上 |
司馬さんに「紙屑」扱いで酷評された陸軍の公刊戦史。内容の是非は別としても大辞典なみに分厚い本が10冊もあるので、よほど根気がないと本編は読む気にもなれません。この膨大な戦史を「騎兵戦闘」「夜間戦闘」「奇襲攻撃」などに分類した「明治三十七八年日露戦史戦例索引」も別冊として出版されているので、索引から必要項目を拾い読みしていくのが良さそうです。。
一方、700枚以上の付図と本編挿図は圧巻です。新聞紙よりも大きな図面に地名、日露両軍の配置・行動が細かく記されています。また、旅順要塞の図面もあり、こちらはカラー印刷で内部構造までよく分かる興味深い図面です(「東鶏冠山北堡塁」参照)。
司馬さんが手に入れた頃と違って、今では全巻揃えようとするとかなりお金がかかります。古書市場での価格としては、だいたい1冊あたり5千円前後、全巻揃いになると10〜30万円になります。国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」にアクセスするとインターネット上で無料閲覧できますが、付図が見にくいのが難点です。
「坂の上の雲」のあとがきで「目方で売る紙クズ同然の値段」と酷評されている「明治卅七八年日露戦史」。「本棚の大部分を占拠しているあの公刊戦史は一体何キロなんだろう?」、そんなくだらないことが気になり自宅の体重計で量ってみました。古い体重計なので数百グラムの誤差はあるかと思いますが、結果は42.5kg。ちなみに、積み上げた時の高さは約1.2mでした。2009年の新聞、雑誌などの古紙価格は1kgあたり14円前後だったので、古紙としての値段は約600円ということになります。
出版当時、日露戦史専用の書架も販売されていたようです(「戦前の販促パンフ」参照)
私が所有している「明治卅七八年日露戦史」は保存状態が非常に良く、一枚一枚確認したわけではないのですが付図も破れ等は無く(入手後の閲覧中に一部破れてしまいましたが・・・)ほぼ全部揃っていると思われます。この状態ですが、運良く1万円で全巻入手できました。オークションでは外装に破れがあるなど、保存状態が良くないものが出回ることも多いため、購入を検討する際の比較対象として参考にしてください。
外函。本編、付図ともに外函に入っています。
外観。濃緑色で背表紙は金文字。
本編見開き。本編にも数十枚の挿図が収録されています。
付図。本編書籍と同じ外装の箱に収納されています。
− 内容 −
第一巻 第一編 戦争ノ起因 第二編 日露両国ノ軍備 第三編 日露両国ノ作戦計画 第四編 開戦ハ制海権ノ獲得 第五編 韓国並ニ遼東半島南部ノ占領 |
第一巻附図(全20枚) 開戦前日露両軍之配置 鴨緑江畔第一軍之戦闘 金州付近第二軍主力之位置 南山付近第二軍之戦闘 得利寺付近第二軍之戦闘 他 |
第二巻 第六編 満洲軍主力ノ北進 |
第二巻附図(全43枚) 摩天ュ付近第二師団前哨之戦闘 橋頭付近第十二師団之戦闘 析木城付近第四軍戦闘 蓋平付近第二軍之戦闘 大石橋付近第二軍之戦闘 他 |
第三巻 第七編 遼陽附近ノ会戦 |
第三巻附図(全28枚) 遼陽付近之会戦 第一軍主力之太子河渡過 黒英台付近第一軍主力之戦闘 遼陽付近露軍之防禦工事 騎兵第一旅団之位置 他 |
第四巻 第八編 沙河ノ会戦 |
第四巻附図(全42枚) 沙河付近満洲軍之位置 梅澤少将ノ率イル部隊及之位置 沙河付近之会戦第一軍之戦闘 第四及第二軍諸隊之位置 秋山支隊之戦闘 他 |
第五巻 第九編 旅順要塞ノ攻略 |
第五巻附図(全28枚) 第三軍攻囲陣地之占領 旅順要塞之備砲及工事 龍眼北方堡塁第九師団右翼隊之戦闘 盤龍山付近第九師団之戦闘 望台砲台付近第三軍主力之戦闘 他 |
第六巻 第九編 旅順要塞ノ攻略 |
第六巻附図(全57枚) 旅順要塞攻撃作業一覧図 旅順港内艦船之位置 爾靈山付近攻防工事 東鶏冠山付近攻防工事 爾靈山及老虎溝山之戦闘 他 |
第七巻 第十編 沙河ノ対陣 |
第七巻附図(全21枚) 渾河沿岸露軍之工事 黒溝台付近秋山支隊之戦闘 黒溝台付近諸隊之位置 鴨緑江軍諸隊之位置 第一挺進隊行動地域図 他 |
第八巻 第十一編 奉天附近ノ会戦 |
第八巻附図(全78枚) 奉天付近之会戦日露両軍之配置 奉天付近之会戦鴨緑江軍之戦闘 奉天付近之会戦第一軍之戦闘 蒲河付近近衛師団之戦闘 中国付近第十二師団之戦闘 他 |
第九巻 第十一編 奉天附近ノ会戦 |
第九巻附図(全75枚) 奉天附近之会戦第四軍之戦闘 奉天附近之会戦第二軍之戦闘 奉天附近之会戦第三軍之戦闘 朱山附近秋山平佐両支隊之戦闘 秋山支隊及騎兵第二旅団之位置 他 |
第十巻 第十二編 満洲軍ノ整備 第十三編 樺太ノ占領 第十四編 韓国軍ノ行動 第十五編 平和克復 第十六編 兵站 第十七編 軍ノ後方及内地ノ設備 第十八編 皇室ノ優典及賚賜 |
第十巻附図(全75枚) ミシチェンコ騎兵団之行動 法庫門公主屯間之戦闘 樺太北部占領部隊之位置 休戦間日露両軍之配置 第一軍之兵站 他 |