書名 |
兵学提要 |
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著者 |
Dennis Hart Mahan 著 |
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出版 |
大学南校 |
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出版年 |
明治三年 |
東大の前身である大学南校のテキストと思われます。原書はアメリカの兵学書。国会図書館の近代デジタルライブラリーでも閲覧可能ですが、書籍データでは原著者は「海上権力史論」の著者であるアルフレッド・T・マハンということになっていました。しかし、出版時の1862年で「マハン博士」という所に違和感があり、さらに調べてみたところ原著者はアルフレッド・マハンの父親
Dennis Hart Mahanであることが分かりました(参考:英語版ウィキペディア)。マハンの父はアメリカ陸軍士官学校の教官だったようです。ちなみに原著のタイトルは「Elementary Treatise on Advanced
Guard, Outposts, and Detachment Service of Troops」。検索したところ、原典はGoogleブックスに全文が公開されていました。
本書は一〜三までの全三巻。各ページは両面印刷ではなく袋綴じ。背面を糸でかがって綴じている和装本です。この外観だけでも年代を感じさせます。
紙が薄い上にシミなどで所々くっついている箇所があるので、ページをめくる時は破らないように結構気を使っています。これまでは我が家の古書の最古参は日清戦争実記(明治二十七年)でしたが、一気に記録を更新。明治初年度の書籍を入手する機会も滅多にないので、大切に保管しようと思っています。
この書籍、古書市場では全くと言っていいほど出回っていません。大学南校そのものが明治2年〜明治4年頃までしか存在していなかったせいか、大学南校の出版物の流通も僅かです。他の陸大テキスト十数冊、日露戦役写真帖などと纏め売りされていた中に紛れ込んでいたもので、手元に来てから初めて貴重な物であることに気づきました。「基本戦術講授録」の時もそうですが、纏め売りされている書籍の中には意外な掘り出し物があるようです。